MSR Intern Beijing(滞在中)のご紹介(第58回)

Microsoft Researchインターンのご紹介。第58回は、北京のラボに滞在している、東京大学の石渡祥之佑さんです。石渡さんは東京大学大学院情報理工学系研究科の博士課程に在籍され、喜連川先生の研究室で自然言語処理や機械翻訳に関する研究を行っている方です。

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・所属、学年、研究室

東京大学大学院情報理工学系研究科 電子情報学専攻D1 喜連川研究室

 

・修士論文・博士論文のテーマ

自然言語処理、特に機械翻訳における未知語問題に関する研究をしています。

 

・インターンに来たきっかけ、目的

きっかけは大学の先輩の推薦でMicrosoft Research Asia Doctoral Consortiumへ参加したことです。このイベントでMSRAの研究者や公野さんとお会いして、「機械翻訳チームでインターンさせて欲しい」とお願いすることができました。

MSRAには、トップ会議で機械翻訳に関する論文を毎年のように発表するチームがあります。

このチームで機械翻訳の研究と開発の経験を積みつつ、一本論文を書き上げることが今回のインターンの目的です。

 

MSRと大学の研究室と異なるところ

(プロジェクトによるかもしれませんが、)研究者として関わった技術が製品として世に出やすい点が大学と大きく違うと思いました。自分が提案した技術が世界中で使われる製品やサービスに使われたりしたら、これほど嬉しいことは無いだろうな、と思います。

 

MSRに来てよかったこと、刺激をうけたこと

自分と同じ分野の研究に取り組んでいる研究者や学生から有用なアドバイスやコメントを貰えることが、MSRAにインターンに来る一番の「うまみ」だと感じています。同じチームには僕以外に博士課程の学生が2人いますが、2人ともとても優秀なのでいつも刺激を受けています。

それ以外にも、アジアの様々な国や地域から来た学生と一緒にコーヒーを飲んだり、ご飯を食べたりしつつ、お互いの研究や文化について話したりできるのも面白いです。

 

MSRのここはちょっといただけないというところ

会社にこれといった不満はないのですが、インターン生用のホテルが少し古いです。僕の部屋は暖房の効きが悪く、毎晩ルームメイトと「寒すぎて明朝死んでたらごめんな」「死ぬときは一緒だ」などと冗談を交わしながら眠りにつきます。ちなみに、部屋によっては暑すぎて半袖で暮らせるケースもあるそうです。(羨ましい)

 

・北京での生活について

空気が汚いこと以外は不満がなく、楽しく過ごしています。北京は万里の長城や頤和園、故宮など見どころが多いので、観光も楽しいと思います。

それから、学校では学べない若者言葉の中国語を学べるのも面白いです。「牛(超強い)」 「坑爹(めっちゃはめられた) 」など、機械翻訳では訳しにくそうな語彙も覚えました。

 

・インターンに行こうか迷っている人に対して一言

迷うのであれば行ってみるといいと思います。優秀な研究者や学生が多く、刺激的で楽しいと思います。

 

・その他なんでも

MSRAのオフィスがある中関村にはスタートアップがずらーっと並ぶ「創業大街」と呼ばれるエリアがあります。ガラス張りになっている会社も多く、IT企業を自分たちで立ち上げてせっせと働く同年代の若者の姿が見られます。やる気がなくなった時に行くと、「うわ~、あいつら超がんばってるおれも負けてられないぞ」という気分になるのでおススメです。

 

石渡さん、ありがとうございました!

MSR Intern Beijing(経験者)のご紹介(第57回)

Microsoft Researchインターンのご紹介。第57回は、北京のラボに滞在していた、京都大学の大谷直樹さんです。大谷さんは京都大学大学院情報学研究科の修士課程に在籍され、黒橋・河原先生の研究室で自然言語処理や機械学習に関する研究を行っている方です。

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・所属、学年、研究室

京都大学大学院情報学系研究科 知能情報学専攻 修士課程2黒橋・河原研究室

 

・修士論文・博士論文のテーマ

音声対話システム上のゲームを使って、言語を理解するために必要な常識的知識を収集する方法を研究しています。

 

・インターンに来たきっかけ、目的

インターンが実現したきっかけは人です。お世話になった先生の紹介で201512月のalumniイベントに参加し、そこで出会った人がきっかけになって応募に踏み切りました。

僕はMicrosoftのチャットボット (日本だとりんな、中国だとXiaoice) に強く興味があり、その研究に触れてみたいと思っていました。Microsoftは最近「Conversation as a Platform」という概念を打ち出すなど、自然言語によるインタラクションに力を入れており、MSRAのチャットボットも重要度を増しているように感じていました。

 

MSRと大学の研究室と異なるところ

MSRAは大学と違って

開発チームとの連携がある: 開発グループと意見交換したりリソースを共有する機会が何回かありました

ライセンスの制限が大きい: (日本企業でも同じですが、)ライセンスの問題で研究で使うツールやリソースが制限されてしまいます

席の配置が結構ランダム: 隣の人が違う研究グループにいたりして、刺激を受けることができました

 

MSRに来てよかったこと、刺激をうけたこと

一番目の収穫は目的としていたチャットボットの研究に携わることができたこと、二番目の収穫は良いメンターと仕事ができたこと、三番目の収穫は同年代の面白い人たちとたくさん出会えたことです。

僕が所属したNatural Language Computing (NLC) の対話グループでは、まさに僕が興味を持っていた (と同時にユーザーでもあった) Xiaoiceなどの開発に取り組んでおり、毎週のグループミーティングから刺激を受けました。また、インターンとしてそのプロジェクトに少しでも貢献できたことをとても光栄に思います。

メンターは若手研究者のWei Wuで、チャットボットの技術に関していくつも研究を発表しています。研究についてのアドバイスだけではなく、食事に何度も誘っていただいて、中国や日本の文化についても話しました。また、NLCグループのMing Zhouにも親切に声をかけていただきました。

他のインターン学生との交流も忘れられません。皆研究に対する情熱が強く、話をしていてとても面白かったです。

 

MSRのここはちょっといただけないというところ

– Windows + Windowサーバーでの研究に慣れるのにかなり時間がかかりました。コンパイラと文字コードにはインターン中かなり苦しめられました

– MSRAの研究者による学生向けセミナーが何度かあったのですが、中国語で話されることが多かったです。僕の中国語力は後述のレベルなので、専門用語が出てくると認識不能でした

 

・北京での生活について

英語が通じないことで定評のある北京ですが、僕は「オレ オマエ メシ クウ。ミンナ シアワセ」程度のレベルの中国語を使うことができるので、生活はほとんど不自由しませんでした。つらかったことは、散髪に行ったときに「何でもいいから中国の女の子にモテる感じにして (中国語)」と注文したところ二時間半かけてK-POPアイドル風にされたことくらいです (すごく高かった)

 

・インターンに行こうか迷っている人に対して一言

インターンに来ること自体が目的になっていたり、日本から仕事をたくさん持ち込んだりしてしまうと、幸せなインターンにはならないと思います。自分の中で整理して、人に予め相談して、不安要素がなくなっていれば、インターンに来て後悔はないはずです。

 

・その他なんでも

修士課程でインターンに来ている人は少数派なので、僕は応募するのをずっと躊躇していました。最初に書いたように、京大の馬場先生や、阪大の荒瀬先生、研究室の森田さん、MSの公野さん、指導教員の黒橋先生、ほかにもいろいろな方に相談できたことが、今回のような素晴らしい経験に繋がりました(非常感謝)

業績が、修論が、英語が、など行けない理由はいくらでも出てくると思いますが、誰かに相談してみるとスッキリするかもしれません。僕も相談されたらできる限り答えます。

 

大谷さん、ありがとうございました。

MSR Intern Beijing(経験者)のご紹介(第56回)

Microsoft Researchインターンのご紹介。第56回は、北京のラボに滞在していた、電気通信大学の林直宏さんです。林さんは現在電気通信大学の大学院情報理システム学研究科の博士課程に在籍され、工藤俊亮先生の研究室でロボティクスに関する研究を行っている方です。(林さんは左から3人目)

MSRA集合写真

・所属、学年、研究室
電気通信大学 情報システム学研究科 情報メディアシステム学専攻 知能システム学講座
工藤研究室 D4

・修士論文・博士論文のテーマ
博士論文テーマ “双腕アームロボットを用いた布被覆作業に関する研究”
「物を布で包む・物に布を巻く」といった柔軟物を扱う作業について、ロボット化の研究をしています。

・インターンに来たきっかけ、目的
インターン中、指導して頂いた池内先生には修士課程の時に共同研究でお世話になっており、知り合いの研究者の方の紹介で、インターンに応募致しました。海外の研究所での経験を積みたいと思い、行きました。

・MSRと大学の研究室と異なるところ
私の場合は大学で研究している時と異なり,テーマに明確なゴールラインと期限が設けられていました。ハードウェアに関するテーマを扱っていたのですが、ビジネス的な視点から期限だけでなくコスト面も考慮しなければいけない所が異なると感じました。テーマだけに注力できるような環境が揃っており、短期的な目標設定などスピーディに展開していきました。

・MSRに来てよかったこと、刺激をうけたこと
たくさんの熱心で鋭い研究者、インターン生に囲まれ、朝から晩まで雑務なく完全に研究テーマだけに没頭できるというのは最高です。研究所には様々な研究者の方々が定期的に来訪されていて、最新の研究プレゼンが聞けるというのも刺激的でした。それと、飲み物や3時のおやつサービスには休憩や糖分摂取で大変お世話になりました。

・MSRのここはちょっといただけないというところ
最初の情報登録や設定で不具合が出ていて、サポートグループによく駆け込んでいました。夜になると、一定時間でフロアの明かりが消灯されるので、スイッチ近くのインターン生が定期的に点灯しに行ってました。

・北京での生活について
社食や街などで、安い価格で日本では食べられない中華料理が食べられるのが魅力的です。中華料理なので、実際、油物も多いですが、お粥専門店なんてのもあり、食事は非常に楽しかったです。移動に関しては、バスがたくさん走っているので、市内の移動は非常に楽でした。
大変だったのは、ネット規制でVPNを通さないとアクセスができないサイトがあることでした。現地の環境ではVPNを提供するサイト自体にアクセスできない場合もあり、事前にVPNの準備もしていくべきでした。また、使用していたアパートが突然、断水したりするのには困りました。10月にお湯が出ず、水のシャワーで1週間ぐらい凌ぎました。

・インターンに行こうか迷っている人に対して一言
このようなすばらしい環境で研究できることは、とても貴重だと思います。いろいろ不安にも思いましたが、行けばなんとかなるものです。

・その他
携帯電話については、現地のSIMカードを購入するか日本や現地の携帯電話をレンタルするかの選択肢があります.私は日本で海外用携帯電話をレンタルしていきましたが、出発2週間前では、安くて人気の所は順番待ちで申し込みができませんでした。色々、渡航準備がかかるので、もっと早めにこういったものや保険、クレカ等準備するべきでした。

林さん、ありがとうございました。

MSR Intern Beijing(経験者)のご紹介(第55回)

Microsoft Researchインターンのご紹介。第55回は、北京のラボに滞在している、東京大学の平木剛史さんです。平木さんは現在東京大学の大学院情報理工学系研究科の博士課程に在籍され、苗村先生の研究室でAR/VRやHCIに関する研究を行っている方です。

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・所属、学年、研究室
東京大学大学院情報理工学系研究科 電子情報学専攻 博士課程1年 苗村研究室

・修士論文・博士論文のテーマ
ロボットなどの動く実物体を使った拡張現実感システムやヒューマンコンピュータインタラクションについて研究しています.

・インターンに来たきっかけ、目的
修士課程での研究が一段落しつつあったところで,学科の教授から興味はないかとお話を頂いたのがきっかけでした.
メンターになって頂いている福本さんの研究は論文を通して知っていて,自分の興味がある領域に近いということも知っていたので,機会があるのであれば是非にとのことで応募させて頂きました.

・MSRと大学の研究室と異なるところ
研究室で行っていた,学生への指導やその他業務などから良くも悪くも解放されるというのが一番の違いでしょうか.
また,大学における先生方は様々な業務でお忙しいことが多いかと思うのですが,MSRAの研究者の方はほぼ研究に専念されている印象です.
そのため,進捗や課題についていつでも相談でき,大学の研究室と違って早いサイクルで物事を進めることができるのかなと感じています.
また,オフィスの雰囲気が非常によく,研究者を研究に専念させようという姿勢がいろいろなところに感じられるのが研究室とは大きく違うと感じました.

・MSRに来てよかったこと、刺激をうけたこと
前項目でも書きましたが,自分の研究に専念できる環境であるということが大きいかと思います.
同じインターン生も優秀な上にまじめな人が多く,オフィスに毎日来ては仕事をするというサイクルが自然なライフスタイルになっていると感じています.
また,様々な分野を専門としている人が集まっているので,普段ディスカッションすることのないような内容や視点での話ができ,その点はとても刺激的だと感じています.
あと,あまり研究とは関係ないですが,パントリーに飲み慣れたサントリーの烏龍茶やネスレのコーヒーがあり,15時にフルーツが提供されるのには本当に助かっています.(休みの日には閉まってしまうのが残念ですが)

・MSRのここはちょっといただけないというところ
僕はハードウェアを作る研究をしているのですが,物品の購入プロセスが非常に面倒かつ時間がかかるのでそのあたりのスピード感は日本の研究室のほうが上かなと思います.(秋葉原の有無もありますが)
また,様々な事務手続きについて要所要所で遅延が発生する場合があるので,(当たり前ですが)ゆとりをもって進めないと時としてまずいことになります.(僕はオンボードのスケジュールが結構タイトだったのですが,ビサの発給に必要なInvitation Letterが間に合わず,一週間遅れで北京入りすることになりました)

・北京での生活について
いろいろと心配していたのですが,ほとんどが杞憂に終わりました.
MSRAの近くのほっともっと(日本でもあるあのお弁当屋さんです)では日本と同様の弁当が購入でき,最初の生活の立ち上げについても,中国人のインターン生がとても親身に(それこそ携帯回線の契約から現地移動用の自転車の購入まで)面倒を見てくれたので,本当に何も心配いりませんでした.
ただ,交通マナーはあまり良くないので,道を歩いたりする際は気を張っていないと危ないです.
あと,概ねルームメイトとの寮生活を送ることになるかと思うのですが,一切プライベートスペースが無いので,その辺りを気にする人は気疲れしてしまうかもしれません.(追加料金を支払えば一人部屋にしてもらえますがかなり負担が大きいので,MSRAからのお給料で生活をしているひとには厳しいです)

・インターンに行こうか迷っている人に対して一言
日本語が全く通じない環境に飛び込むのは勇気が必要だと思いますが,来てしまえばなんとかなっているので迷っているのであれば挑戦されることをおすすめします.
(あまり無責任なことは言えませんが)
いわゆる日本企業のインターンの異なり,MSRAのインターンはメンターの研究者の方と二人三脚で研究活動を進め,トップカンファレンスにもapplyできる成果をあげることが目的だと僕は感じており,研究者として成長する絶好の機会なのではないかと思います.

・その他なんでも
MSRAへの出発直前に,MSRアラムナイの集いに(半ば無理やり)参加させて頂いたのですが,自分の専門分野を含む様々な分野の研究者の方とお話ができ,また現地での過ごし方などのノウハウも知ることができたので,MSRインターンへのapplyを考えている方は(可能かはわかりませんが公野さんとアポイントを取って)参加されることをおすすめします.

平木さん、ありがとうございました。

マイクロソフト リサーチ CORE 連携研究プログラム 第 12 回共同研究プロジェクト募集のお知らせ

マイクロソフトリサーチ(Microsoft Research以下、MSR)ではCOREと呼ばれる共同研究プロジェクトの公募を今年も開始いたします。COREは(Collaborative Research)の略で、その名の通りMSRとの共同研究を支援するプログラムで、今年で12回目を迎えます。MSRの日本の大学連携のプログラムの中でも、最も重要なプログラムの一つであり、より多くの皆様に活用していただきたいと思っています。今回はその改めてプログラムの特徴と、今年の公募のポイントをいくつかまとめておきたいと思います。

COREは主に1年間の共同研究プロジェクトに対して、100万〜300万円の研究費を支援するプログラムです。他のファンディングプログラムと比べた場合、以下の3つの特徴があります。

・MSRとのネットワークを構築できる

・寄附金(委任経理金)として研究費を提供

・優れたプロジェクトには継続サポート

一つ目はCOREを特徴づけるもっとも重要な点です。COREの研究費自体それほど大きいものではありませんが、COREの共同研究を通じて、MSRの研究者へのアクセスができること、また彼らを共同研究の相手として活用できることは、金銭的なものに変えられないと考えています。COREの研究代表者はは研究成果を発表する毎年のレビューミーティングに、研究開始時および研究終了後に参加することが求められており、そこでもMSRの研究者とのディスカッションの機会を持つことができます。また、MSRではRedmondでのFaculty Summitや北京でのAsia Faculty Summit、その他いろいろワークショップやシンポジウムを開催しています。基本的に過去のCOREの採択者は招待者の候補として取り扱われますので、COREの枠以外でもさまざまなチャネルでMSRとのネットワークを広げる機会が提供されています。

二つ目はに関しては、プロポーザルの段階では予算計画は求めており、審査の重要な部分となりますが、採択およびプロジェクト実施後、MSのから経理報告を求めることはありません。政府系(特に本省)のファンディングは経費の細目が決まっており、予算段階の計画から大きく外れた支出は困難なことが多いですが、COREに関してはプロジェクトの予算執行にあたっては各大学の寄附金の運用にお任せしております。政府系のファンディングを持っている方でも、COREの寄附金と合わせてうまく活用することで、効果的にそれらの研究費も使用することができると思います。

三つ目の特徴としては継続プロジェクトのサポートがあげられます。2年前から取り入れられた制度になりますが、レビューミーティングで評価の高く、今後も連携が期待されるプロジェクトに関しては、継続(1年間)の研究費をサポートしています。過去の実績ではおおむね3分の1のプロジェクトが継続のサポートを受けています。COREの採択者は翌年のCOREの公募に応募することはできませんが、この制度をうまく使うと、ギャップイヤーもサポートされるため、理論上毎年研究費のサポートを受けることができます。

以上が主なCOREの特徴となりますが、今年からよりMSRとのコラボレーションを促進するために、プログラムにいくつか修正を加えました。以下、今年の変更点を少し詳しくご説明いたします。

・研究トピックの廃止とカテゴリの明確化

・研究期間中のインターンを推奨

まずは、研究トピックの廃止です。過去、公募にあたりコラボレーションを期待する研究エリアとしてMSRから5〜6の研究トピックを参考にあげておりましたが、今回は特に設けておりません。過去、公募要領にある研究トピック以外の研究提案も受け付けてはいましたが、実際のところあまり提案がありませんでした。今回の意図としてはMSRが考えるトピックに偏らないよう、またMSRの各ラボとコラボレーションできる提案を前広に受け入れたいということがあります。そしてCollaborative ResearchとBlue-Skyの二つのカテゴリを設けました。Collaborative Researchではどのような研究トピックもOKですが、コラボレーションを希望するMSRの研究者をきちんとノミネートする必要があります。そしてBlue-Skyはコンピュータサイエンスや情報科学と他分野の連携を促進する学際的な研究領域の研究プロジェクトを募集するカテゴリーになります。特にMSRの研究者をコラボレーターとしてノミネートする必要はありませんが(もちろんノミネートを歓迎します)、MSのプラットフォームを活用していただくことが前提となります。単にウィンドウズやMSオフィスを使用するといったことではなく、コンピューティングプラットフォームとしてのMicrosoft Azureの活用やMSRで提供しているリサーチツールなどの利用が期待されています。現在Redmondのチームで公募を行っているCatapultや、日本はまだ未発売ではありますがSurface HubMicrosoft Bandなどを活用した提案も期待したいところです。

そして研究期間中のインターンのMSR Asiaへの派遣を推奨しています。昨年度CORE10では、東京大学の川原先生、NAISTのNeubig先生のプロジェクトでは、プロジェクトの期間中にインターンが派遣されており、コラボレーションを非常に効果的に進めることができました。CORE12の研究期間は2016年4月~2017年3月になりますが、その期間を含めたインターンの派遣を提案時にご考慮いただきたいと思います。インターンについては別途予算がありますので、ご提案の予算に含めていただく必要はありません。

以上、COREではハイリスクな研究提案を募集しています。過去採択になったプロジェクトとそのサマリーレポートはこちらで確認することができます。今年の締め切りは9月24日(木)です。たくさんのご応募をお待ちしております。

MSR Intern Beijing(経験者)のご紹介(第54回)

Microsoft Researchインターンのご紹介。第54回は、北京のラボに滞在していた、京都大学の梅本 和俊さんです。梅本さんは現在京都大学の大学院情報学研究科の博士課程に在籍され、田中克己先生の研究室でWebサーチにおけるユーザの行動に関する研究を行っている方です。

(写真取り寄せ中)

 

## 所属、学年、研究室

京都大学 大学院情報学研究科 社会情報学専攻 博士後期課程3回生 田中研究室

## 修士論文・博士論文のテーマ

「ユーザ行動分析に基づく検索意図検出」に関する研究

Web検索では,高々数個のキーワードからなる検索クエリが使われがちです.こうした短いクエリの背後に存在するユーザの検索意図を推定し,個々のユーザの意図に応じた情報を提示することが,私の研究の目的です.また,ユーザの特性が検索行動に与える影響にも興味があります.

## インターンに来たきっかけ、目的

2013年9月にMSRA Fellowship Programの面接でMSRAを訪問した際に,同機関の研究者であるRuihua Song博士に私の研究内容を紹介する機会がありました.残念ながらFellowshipの受賞には至らなかったのですが,帰国後に同博士からインターンシップのお誘いを頂きました.お互いの研究テーマがとても近かったことや,インターン経験者である研究室の先輩からMSRAの魅力をいろいろと伺っていたことから,インターンシップへの参加を決意しました.

## MSRと大学の研究室と異なるところ

私が所属したKnowledge Miningグループでは,「研究の進捗や方向性については主にメンターと一対一で議論し,ある程度進展した段階でグループメンバーに結果を発表して意見交換を行う」という形式で研究を進めていました.この点については,私の研究室の方針と大きな違いはありませんでした.

一方で,以下の点では研究室との違いを感じました.

### 席の割り当てが適当

大学にいる時は,研究室ごとに建物や部屋が異なるため,研究室内のメンバーと時間を過ごすことが多かったのですが,MSRAインターンの席の割り当ては所属グループとはあまり関係ないように見受けられました.結果として,自分とは異なるグループに所属するインターンとも交流する機会が増えたので,これはこれでアリかなと思いました.

### 豊富なリソース

研究室の場合,同じ分野については詳しい人がいますが,少し離れた分野になると調べるのに苦労することがあります.MSRAにはさまざまな研究/開発グループが存在するため,それぞれの分野での専門家が数多くいます.そのため,研究を進める上で壁にブチ当たったとしても,適切な人から適切なアドバイスを受けることができます.

研究リソースについても同じことが言えます.MicrosoftはBingというWeb検索エンジンを提供しているため,実ユーザの検索ログを大量に保有しています.大学にいるとこうした生データを扱える機会はあまりないため,情報検索系の研究をしている学生にとってMSRAインターンシップはかなり魅力的だと思います.他にも,情報検索用のデータセットや機械学習用のライブラリも潤沢に存在している,という印象を受けました.

## MSRに来てよかったこと、刺激をうけたこと

限られた時間の中で結果を出すことが求められているということもあってか,学年に関係なく多くのインターンが研究に対して高いモチベーションを持っているように感じました.こうした優秀なインターンと切磋琢磨しながら,集中して研究に打ち込むことができたことは,大変貴重な体験になったと考えています.また,有名な研究者と知り合うことが出来たことも,インターンシップに参加してよかったことの一つです.

一つ衝撃的だったのは,何人かのインターンが,優秀な能力を持っているにもかかわらず,研究の方向性に苦悩していたことです.彼らは,現在の研究テーマの将来性に限界を感じていたり,研究分野を変えて新たなチャレンジをしようとしたりしていました.また,夜遅くまで残って研究しているインターンの姿を見かけることもよくありました.苦難を乗り越え,努力を続けることで,ようやく彼らと同じ土俵に立てるのだと強く実感しました.

## MSRのここはちょっといただけないというところ

オフィスの環境は,概ね満足でした.おやつや飲み物の供給は,階により消費速度が違いはするものの,大学にはない魅力的な要素の一つでした.他にも,種々のアクティビティやゲスト研究者の講演など,大学と同等あるいはそれ以上のイベントが用意されていました.唯一不満だったのは,オフィスの電気が夜になると一時時間ごとに自動的に消灯されることです.夜型寄りな生活をしていた自分にとっては,これだけがイライラの種でした.(社食については,他のインターン経験者の方と同意見です.)

研究環境については,ところどころ不満を感じることがありました.インターンにはデスクトップPCが貸与されることになっており,ノートPCの貸与や持ち込みは原則として許可されていません.そのため,メンターとのミーティング時には,あらかじめデータを共有しておく必要があったりして,少々面倒でした.この点に関しては,デスクや周辺機器のスペックも含めて,大学の方が恵まれているなと感じました.また,Microsoftなので当たり前といえば当たり前ですが,開発環境が全てWindowsというのも,なかなか衝撃的でした.それでも最終的には,Visual StudioとC#は結構好きになっていました.

## 北京での生活について

やはり一番気になるのは,空気に関することかと思います.今となっては,冬が近づくにつれて街が白くなるという光景は少し幻想的だったような気もします.その当時,不安がなかったといえば嘘になりますが,「期間限定だし,マスクをしてるから大丈夫」と自分に言い聞かせていました.むしろポジティブに捉えて,外の景色からPM2.5の値を予測したり,測定値が大台に乗ったことで騒いだりもしていました.

別の懸念として,Great Firewallと呼ばれるインターネット検閲システムの存在が挙げられます.このシステムのせいで,多くの有名Webサービスへのアクセスが遮断されてしまいます.この問題はVPNを用意しておけば回避できるのですが,そもそもアパートのインターネット回線が(時間帯にもよりますが)遅いため,結構ストレスを感じました.ちなみにオフィス内では,こうした問題はなく快適にインターネットが使えます.

また,同期インターンの木村さんに続くバスでの恐怖体験として,自分の乗っていたバスの窓ガラスが突如割れるという事件に遭遇しました.運転手さんが車掌さんと話し合った結果,乗客は全員その場で降ろされてバスの運行は中止になりました.その時,自分は一人でバスに乗っていたため,状況があまり把握できず,その後しばらくは怖くてバスに乗れませんでした.

…と,ここまでいくつか不満を述べましたが,それ以外の点については大変充実した日々を送ることができました.

例えば,本場の美味しい中華料理を安価で食べられるというのは,大きな魅力の一つでした.初めて食べた時にはかなり辛かった四川料理も,インターンシップ後半時には大好きになっていました.他にも,中国各地のさまざまなスタイルの料理を堪能することができました.自分一人では決して入れないようなローカルなレストランに,ルームメイトが連れて行ってくれたこともありました.

また,市内の治安がよく,夜中に出歩いてもあまり危なくないというのも,個人的にポイントが高かったです.ただし,車は何も考えずにどんどん突っ込んでくるので,「歩行者優先」という考えは捨てた方が身のためです.

多くの人によくしてもらえたことにも,大変感謝しています.あるインターンは,私がオフィスで携帯を紛失した時に,中国人スタッフへの聞き込みを行ってくれました.別のインターンは,レストランでの忘れ物があった時に,私の代わりに電話で確認をしてくれました.PCトラブルの際には,近くの席のインターンやITサポートのスタッフが解決してくれました.アパートで水道や電気に異常が発生した時は,ルームメイトが助けてくれました.インターン同士で遊びに行ったり,飲みに行ったりしたのも,とてもいい思い出です.メンターは,研究面でのサポートは言うまでもなく,他のグループメンバーと一緒に食事や観光に連れて行ってくれるなど,私のことをとても気遣ってくれました.同時期に訪問していた日本人インターンや,MSRAの日本人研究者の方々にも,本当にいろいろとお世話になりました.

## インターンに行こうか迷っている人に対して一言

英語が…とか,中国語が…とか,長期滞在が…とか,心配すればキリがないかもしれませんが,実際にMSRAに行ってみれば大概のことはなんとかなります.行かずに後悔するぐらいなら,とりあえず行ってみてもいいのではないかと,個人的には思います.日本にいては経験できないようなことが良くも悪くもいろいろあるので,ネタ話を増やすという意味でもオススメです.

MSRAに行くことが決まったら,それまでに大学の研究やタスクを可能な限り片付けて,持ち込まないないようにした方がいいと思います.滞在中に現地での研究以外にも時間をかけるのは大変だったので…

 

梅本さん、ありがとうございました。

Microsoft Research Asia Fellowship 2015のご案内

すでにtwitterや各大学の研究科には直接お伝えしておりますが、今年のMicrosoft Research Asia Fellowshipの受付が開始しており、日本では公募の形を取っています。締め切りは6月20日です。対象者や選考プロセスについては昨年度と比較して大きく変わったところはありません。日本では今年も主に博士課程のD1、D2の方々が対象となっております。

募集要項をよく読むとさらに詳しくEligibilityについて書いてありますので、自分が対象となるのかわかりにくい人は、決してその場で諦めないで、直接私もしくはプログラムの担当者にご確認をいただきたいと思います。

昨年度のプログラム開始時にはこちらのブログを書きましたが、注意事項やFAQについてはほとんど今年も同様です。相違点は応募書類の一つに、ご自身の研究を紹介するためのビデオもしくはパワーポイントの資料がありますが、こちらの制作にOffice Mixが推奨されている点ですが、必須ではありません。

昨年度の受賞者はこちらのページで紹介をされています。全体で12名(内訳:中国6名、香港1名、シンガポール1名、韓国2名、日本2名)の方が受賞されました。一昨年は10名だったのですが、昨年度は特にCompetitiveで特に予算を増やして12名にした経緯があります。

応募者は研究分野で9つのトラックに分けられ、研究分野で不利のないようにそれぞれのトラックで審査をしています。日本の過去の受賞者の方をみるとHCI系の分野の方が多いですが、それはおそらくHCIの分野の学生は分野の性質上、自分の研究をデモし、積極的にアピールすることに抵抗が少ないからではないでしょうか。もちろんHCI以外の分野の候補者もオープンに受け付けております。厳正に審査を行っておりますので、優秀な方の応募をお待ちしております。

私は優秀な学生の方は、学振やこのようなアワードを通じてきちんとRecognitionを受けるべきだと考えています。それは、これまで指導していただいた指導教官への恩返しの意味もありますし、広くはより若い学生の方々へのロールモデルとなることで研究者コミュニティへ貢献することの意味もあります。

私が担当をしていた過去8年間、この学生は応募したらいいんじゃないかなと思っていても、すでに研究費が十分あるから、他にふさわしい人がいるからといったような理由で応募をあきらめてしまうケースが何度か見受けられました。非常に残念なことです。私の好きなシャーロックホームズにこのような一節があります。

「ワトソン君。僕は謙遜が美徳だと言う考えには同意出来ないね。理論家は真実をありのままに見るものだよ。過小評価も過大評価も真実から外れることになる」「ギリシャ語通訳」より

研究者であれば真実から外れることは良くないことです。対象になる方は、自身を過小評価することなく、むしろ積極的に応募していただきたいと思います。また繰り返しになりますが、2012年の受賞者の加藤淳さん(産総研)が「Microsoft Research Asia Fellowship応募のすすめ」という素晴らしい文章を書いてくれていますので、こちらを改めて紹介しておきます。アップデートしては、当時より日本人研究者が少なくなっていることと、特に円安なので加藤さんの時より今年は得なことです。