MSR Intern Redmond(経験者)のご紹介(第46回)

Microsoft Research経験者のご紹介。第46回は、今年のサマーインターンでレドモンドのラボに滞在していた、東京大学の牛久祥孝さんです。牛久さんは現在東京大学の大学院情報理工学系研究科の博士課程に在籍され、原田先生の研究室でMultimediaの理解に関する研究を行っている方です。

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・所属、学年、研究室

東京大学 大学院情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 原田研究室

 

・博士論文のテーマ

画像や動画の内容を自然言語で説明してくれる技術の開発
画像(動画)認識というと人の顔や全体像を検出したり、画像(動画)に含まれるものや起きていることのラベルを出力したりといった問題が主流でした。私はさらにそこから一歩進めて、事物間の関係も含めた自然文の形で画像(動画)を認識する技術を開発しています。

・インターンに来たきっかけ、目的

課題でKinectを用いたヒューマンコンピュータインタラクションの授業や弊研究室のデモ発表などで、MSの公野さんにお見知りおき頂いておりました。それで昨年度(2012年度)の10月末にレドモンドでのインターンのご案内を頂き、指導教員の原田にも勧められて応募しました。

大学ではコンピュータビジョンやマルチメディアのあたりで研究しているのですが、関連するトップカンファレンスでMSRからの発表が非常に多いこと、MSRがインターンを多く採用していることを修士課程の頃に知り、もともと興味はありました。博士課程3年の夏という微妙な時期ではありますが、武者修行にはトップクラスの環境であろうこと、卒業してしまえばもう体験できないことなどを考えて応募しました。

それより前にMSRAでのインターン付きのフェローシップ応募のご案内を頂きながら見送ったところ、周囲に勿体無い勿体無いと言われたのも遠因ではありました。

・MSRと大学の研究室と異なるところ

大学の研究室でも場所によって文化にかなり分散があり、MSR内でもやはりグループによってかなり違いがあるようですが、共通しているのは研究そのものにかけられる時間でしょうか。授業や指導等が無いので、研究にかけられる時間の割合が多いです。

また、主に米国内の大学から、多くの研究者が講演にやって来ます。諸分野の重鎮から博士課程の学生まで、それぞれ最先端のトピックについてトークします。そのような講演が毎日いくつもあります。東大でも学内外の研究者が講演していますが、レドモンドの知の集積度合いは感嘆の一言に尽きます。私が普段やっているような分野でも、トップの人がバンバン講演しにきていました。

 

・MSRに来てよかったこと、刺激をうけたこと

コンピュータサイエンスにおいて、アメリカでもトップクラスの研究所を知る絶好の機会でした。私たちのような米国外からのインターンは少数派で、大半は米国内の学生です。国内の企業をインターンして歩く彼らも、「MSRより環境の良い研究所はそう無い」と話していました。

以前、コンピュータビジョンのトップ会議のオープニングで、MSRからの発表件数が「国別」発表件数で第3位という紹介がなされていました。組織としても個々の研究者たちとしても、いったいどんな怪物がどんな環境で研究しているのだろうと思っていました。インターンで訪れた結果、「実態のない怪物」だったのが「実態のある怪物」になったのはとても良かったと思います。

 

・MSRのここはちょっといただけないというところ

いただけないと言う訳ではありませんが、来る以前は「企業の研究所はあり余る計算資源をぶん回して成果を大量生産している」と思っていたのが、そういうわけでも無いことを知りました。ただ、これもグループによってかなり違いがあるようです。そして企業の研究所なので、オープンソースのソフトウェアは使いづらいところ。さらにマイクロソフトの研究所なので、MS社製の…。

あとは、キャンパス内の食事処がほとんど昼下がりには閉店してしまうのが大変でした。レドモンドでは定時退社が主で、夜にカフェテリアの需要がないのはわかります。でもせめて17時過ぎくらいまでは営業してくれていれば、夕食をとって帰れるのですが…。

 

・Redmondでの生活について

– 気候

東京より涼しいとは事前の調べで分かっていましたが、まさかここまで涼しいとは思いませんでした。8月末まで居ましたが、最後までシャツ+長袖の上着で過ごしていました。日差しはきついので、サングラス必携なのと昼に日向ぼっこすると暑い場合があります。それでも湿度が低いので日陰は涼しいですし、屋内の冷房は大体我々には強すぎます。一日の間の寒暖差も大きいので、最高気温に関わらず上着は欠かせません。我々にとっては既に涼しいのに冷房が強めに入っているときもあって、暖かい飲み物をとりに行ったり、相対的に暖かい屋外に逃亡したりすることもありました。

また、晴れの日が多いです。緯度が高いのもあいまって、一日中青空と言うのは精神衛生上かなり素晴らしい環境です。(逆に冬は雨が多くてすぐに日没すると言うことで、フルタイムの研究者複数から鬱になると言われました。我々インターンは夏が主なので、良いとこ取りできるわけですね。)

– 食事

アメリカンなピザ、チキン、バーガーなど…よくあるアメリカの食事以外では、メキシカン、インディアン(≠ネイティブアメリカン)、中華、テリヤキやスシロール(≠和食)が多い印象です。ワシントン州はアジア系の人々も比較的多いとのことで、お金を払えばちゃんと美味しい和食も食べられますし、四川料理やタイ料理の美味しいお店などがMSRの近くにあります。牡蠣や蟹などのシーフードも楽しめるのは、広大なアメリカにあって素晴らしい地理条件です。個人的には、住んでいたベルビューのホテル近くにあったホールフーズマーケット(成城石井や紀ノ国屋のようなスーパーマーケット)が、お惣菜も豊富で大変お世話になっていました。

なかなか食べられないのは日本のB級グルメ(美味しいラーメンや粉物など)、ちゃんとしたイタリアンなどです。両方とも好きな僕は後半ちょっと辛かったですね…。

– 交通

MSではレンタカーや自転車などの交通費をサポートしてくれます。ただレドモンドは丘陵地で、急な坂が大変多いです。山を自転車で攻めるのが好きな人でなければ、遠隔地からの自転車通勤はお勧めできません。車を持っているのが一番と言うのはアメリカ共通として、バス網も発達しています。行き先も次のバス停も電光掲示されますし、慣れてしまえばバスが楽です。MSから回数無制限のICカードを貸与されるのも、とても助かります。鉄道はあまり無く、タクシーは基本的に流れてません。

– その他

要注意なのが街角のトイレの少なさです。公衆トイレなんてほとんどありません。駅はそもそも鉄道がほとんど無いですし。デパートなどにはありますが、夜はすぐに閉店します。飲食店などのお店に入っても、お店によってはトイレ使えなかったり鍵を借りるまでが面倒だったりします。

 

・インターンに行こうか迷っている人に対して一言

博士課程そのものと同じで、迷っている時点で行くことをオススメします。私自身が悩んでいたのは主に英語が苦手なのと食べ物が美味しくなさそうなことでしたが、どちらも何とかなりました。論文の査読と同じで採用されるかどうかも運の要素もあって不確定的なので、「業績が…」とか悩むくらいならとりあえず公野さんやMSRの中の人にコンタクトをとるのが良いと思います。

日本からの米国のインターンでは、インターン前のビザ準備やインターン中の銀行口座・SSN取得などが大変ですが、MSRのサポート体制は素晴らしかったです。MSRインターンは米国内口座やSSNなどが取得でき、クレジットヒストリーもできる副効用もあります。

 

・その他なんでも

博士3年の夏3か月をMSRで過ごして博士を3年で終えられるのか、これから身をもって検証しようと思います。

 

牛久さん、ありがとうございました。

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