MSR Intern Redmond(経験者)のご紹介(第38回)

Microsoft Research滞在者のご紹介。第38回は、今年の夏にレドモンドのラボに滞在されていた、東京工業大学の白幡晃一さんです。白幡さんは現在東京工業大学の大学院博士課程に在籍され、松岡先生の研究室でHigh-Performance Data-Intensive Computingの研究を行っている方です。

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・所属、学年、研究室

東京工業大学大学院 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 博士後期課程1年 松岡研究室

 

・博士論文のテーマ

アクセラレータを用いた超大規模グラフ処理におけるメモリ階層について研究しています。防災計画の策定、災害時の避難誘導、ソーシャルネットワーク解析、センサーネットワーク等、社会問題の多くは大規模グラフとして表現され、スーパーコンピューターの大容量メモリを用いて処理することが必要となります。また、近年安価で高性能を実現するための、アクセラレータを用いたスパコンが台頭しています。しかし、アクセラレータはメモリ容量が小さいため、大規模グラフを載せきれず、メモリあふれが発生するという問題点があります。この問題を解決するため、メモリ階層管理システムを開発し、メモリ容量を超える規模の実社会の超大規模グラフに対してアクセラレータを用いて高速に解析することを可能とし、それにより様々な社会問題の解決や、科学技術の進歩への貢献を実現したいと考えています。

 

・インターンに来たきっかけ、目的

公野さんから松岡先生にインターンのご案内をしていただき、松岡先生に推薦していただいたのが応募したきっかけです。応募した時点で修士課程2年だったのですが、博士後期課程に進学する上で、海外で過ごすことは重要と考えていたので、応募することに決めました。海外の研究者との交流によって研究の方法を学んだり、語学力の向上を図る等、研究者になる上で必要な能力を磨くためには世界最高レベルの研究所であるMSRに身を置くことは絶好の機会であると考えました。

 

・インターンでの研究テーマ、目標としている会議など

MSRで研究されているAcceleratorという並列化システムの、大規模計算環境への拡張に関する研究を行いました。近年GPUやマルチコア等を用いた並列処理が重要となっていますが、並列プログラミングは難しいという問題があります。Acceleratorを用いることにより、平易なデータ並列の命令を書くことで様々なデバイス向けに自動的に並列化させ処理することが可能となります。このAcceleratorを大規模計算環境へ拡張する際の、データ割り振りの最適化に関する研究を行いました。

 

・MSRと大学の研究室と異なるところ

研究分野として製品化を意識する必要があるかという違いがあると思います。大学では網羅的に研究されているのに対し、MSRではスマートフォンやタブレット等の製品・サービスへの応用が期待される分野を集中的に研究しているように感じました。研究成果が製品に適用される可能性があるというところが企業での研究の一つの醍醐味なのかと思います。

また、MSRというよりはアメリカと日本の違いなのかもしれませんが、上下関係があまりなくフラットな環境で、偉い方にもどんどん話しかけていくことができます。フラットな分、逆にMSRでは自立して研究することが求められるという部分は非常に強く感じました。かなり自由に仕事が出来るという反面、基本的に自分の力で主体的に仕事を進め、解決することが必要ですし、結果に対する責任も求められます。当たり前のことではありますが、自分でテーマ・問題点・解決策を考え、日々主体的に仕事を進めることが求められます。

それから、研究に対する姿勢として、楽しんで研究をしようとしているところが新鮮でした。自分は今まで、世の中で必要とされていることをやるべきという考えが強かったのですが、MSRでは楽しんでやることが成果を生むという考えがあり、まず自分のやりたいことを中心にテーマ設定をするように促されたのが印象的でした。

生活リズムも違っていて、MSRでは多くの社員は朝8時には出社し、集中して業務をこなし、夕方4~5時には退社していました。そのため、私もメンターと同じ時間にいるように、早めに出社するように心がけていました。ミーティングも2日おきくらいに行われており、かなり頻繁に進捗管理の確認やディスカッションを行っていました。

 

・MSRに来てよかったこと、刺激をうけたこと

非常に学ぶことが多かったです。まず、周りのインターンや研究員には大変刺激を受けました。特に、周りのインターンの能力には驚きました。既に数多くの論文を書き上げている方が大変多かったですし、議論も日々活発に行っていたり、机に向かっている際の集中力も並大抵のものではありませんでした。世界トップレベルの研究者になるにはこのような日々の研鑽が必要不可欠であると強く感じました。

また、MSRではコンピュータグラフィックスやユーザーインターフェイス等、自分の研究分野とは大きく異なる分野の研究が盛んに行われており、他分野に対する視野が広がったことも良かったことの一つです。将来的には他分野の研究をする可能性もあり得るというところで、今のうちから概要だけでも知っておくことは非常に意義があることだと思いました。また自分の研究分野であるコンピュータシステムの分野は情報系のほんの一部で、いかに今まで狭い空間しか知らなかったでかということを身を以て知ることができました。

更に、語学も不安が大きかったのですが、結果的に英文の読む速度が明らかに速くなったり、英語で話すことへの抵抗がかなり減った等、語学面でも成長できたことは良かったと思います。

 

・MSRのここはちょっといただけないというところ

企業一般のことかもしれませんが、使用するソフトウェアの制限が厳しかったことが挙げられます。通信の解析をするソフトウェアを使用しようとした際には、複数の社員にメールを投げたりして確認を取るのに手間取りました。

 

・レドモンドでの生活について

非常に快適でした。6月は肌寒かったですが、7,8月は毎日快晴で気温も25℃くらいと心地よかったです。また、レドモンドの隣町のベルビューというところに住んでいたのですが、とても奇麗な街並みで、大きなショッピングモールがあり買い物も一通りできたので、非常に気に入りました。通勤もレンタカーで15分くらいと、とても快適な通勤が出来ました。その他にもシアトルでのスポーツ観戦や、カナダへの観光など、多くの体験をすることができました。特に、イチローやベッカムを生で見られたことには感動しました。

また、MSRのインターンへの待遇は非常に充実しており、住居、レンタカーの契約、銀行口座の取得等、一人では苦戦しそうな部分はかなり親切にサポートしていただきました。MSRのビルディングも数年前に建てられたばかりだそうで、とても奇麗でしたし、毎週世界中から訪問される研究者のトークを聞けるなど、研究者にとって素晴らしい環境だと思いました。更に、インターン向けのイベントも毎週のように開催され、マウントレーニア山へのバスツアー、トランポリン上でのドッヂボール、研究員とインターンのサッカー対決、ケーキタイム等、他のインターンと仲良くなる機会が多くあったことは良かったです。

 

・インターンに行こうか迷っている人に対して一言

行けば必ず得るものがあると思います。私自身インターンに行こうかかなり迷いました。自分の実力や実績に自信がなかったので、仮に行ったとしても全く通用しないのではないかと思ったからです。実際インターン中も自分の思い通りに行かず歯がゆい思いをすることも多々ありましたが、その分日々必死に考えながら過ごしたことそのものが財産であると考えています。これまで漠然としていた、自分に何が足りないかということがはっきりとわかり、改善するために日々悩みながら過ごしたこと、インターン終了後の今でもときどきインターンのことを思い出し、自分を奮起させることが出来ています。

 

・その他なんでも

研究者を目指す上で一度海外に出て修行することは重要だと思うので、行ってみてよかったと思います。特に世界トップレベルのインターンや研究者と交流できたことが重要だと思っています。インターンの経験が活きるかどうかはこれからだと思うので、この経験を活かして日々精進したいと思います。

以上

 

白幡さん、ありがとうございました。

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